抗MAC抗体

・キャピリア®MAC 抗体 ELISAは、非結核性抗酸菌の細胞壁を構成する糖脂質抗原であるGPL(Glycopeptidolipid)の部分において、結核菌やM.kansasii菌以外の非結核性抗酸菌が共通に持つGPL-coreを抗原とする血清中のIgA 抗体を測定する方法

 

・キャピリア®MAC 抗体 ELISAは、特異度は高いが、感度は十分に高いとは言えない。   検査が陰性でもMAC症を否定できるものではなく, あくまでも補助的診断

 

・肺MAC患者70名、肺結核患者、37名、その他の肺疾患患者45名、環境からの混入と考えられた者18名、および健常者76名を対象とし、血清抗体価は肺MAC症群で有意に上昇しており、カットオフ値を0.7U/mLとすると肺MAC症の診断的有用性は感度84%、特異度100%であった。
(Am J Respir Crit Care Med. 2008 ; 177 : 793_7.)

・本邦で行われた関節リウマチ患者の気管支病変とMAC症との鑑別に関する研究では、63名の関節リウマチ患を対象とし血清抗GPL-core IgA抗体価が測定された。対象の内訳は、肺MAC症 14名、MAC以外のNTM症 3名、気管支拡張所見を有する患者 16名、胸部異常所見のない患者 30名で、カットオフ値を0.7U/mLとすると、感度47%、特異度100であった。

(Mod Rheumatol. 2011;21:144-9)

・米国:検討では、肺MAC症 100名、健常ボランティア 52人を対象とし、カットオフ値 0.3U/mLでは感度 70.1%、特異度 93.9%であった。一方で日本で使用されているカットオフ値 0.7U/mLを当てはめると、感度51.7%、特異度93.9%と感度が低値であった。著者らは、カットオフ値 0.7U/mLの感度が低くなった原因として、対象とした患者の菌種の違い、疾患活動性、異なる人種で行った事を挙げている。